保育の考え方

“子育ち” も “子育て” も応援する。

こどもたちが主体的に遊び、達成感や充実感を味わい、
その中で生まれてくる自己肯定感を育む保育を目指しています。
0・1・2歳児は「育児担当制」、3・4・5歳児は異年齢保育(縦割りクラス)を取り入れて、
こども一人ひとりに丁寧に向き合う保育を実践します。
地域の方々と“子育ち”を応援しながら、保護者の“子育て”も支援していきます。

0・1・2歳児 育児担当制

家庭ですごすような保育

0・1・2歳児は、1人の保育教諭が少人数を担当します。
1対1で、着替えなどの育児行為や食事のお手伝いをしていく育児担当制を実践。
園のお母さんとして、優しく接し、担当の子どもと愛着関係を深めるよう努めています。
食事は一斉ではなく時間差をつけて食べ始めることで、1人ずつ丁寧に関わり、ゆっくり食べさせることができます。遊びは、庭と室内のバランスを取りながら、発達に合った遊びや玩具を揃え、子どもが自分で選んで遊びます。

乳児にミルクを飲ませている保育士の写真
3・4・5歳児 異年齢保育

上の子を見て、下の子は育つ

3・4・5歳児混合の縦割りクラスで生活。互いにいたわりや譲り合いの気持ちが育っています。
上の子が下の子を優しく教えたり、時には厳しく叱ったり。下の子にとって上の子がモデルや憧れの存在になって「こまが回せるようになりたい」「○○ちゃんみたいに作りたい」など、いろいろな活動が子どもたちの間で広がり伝承されています。
担任が指示をしなくても、子どもたちの中から「今、しないといけないこと」「次は何?」「そろそろ、ご飯かな?」など、年上の子どもたちの行動を見て、あるいは自分で考えて行動することが少しずつ身についています。

机の上で遊ぶ子どもたちの写真

とことん遊ぶ

遊ぶ

園では「遊ぶ」ことが中心の生活を送っています。毎日自分がやりたい遊びを見つけて、とことん「遊び込む」。
何をして遊ぶかは、その子次第。1日中ひとつの遊びに没頭しても大丈夫。全身を使って走り回る。道具で何かを作る。水遊びで泥んこになる。 思いっきり外で遊ぶことで体が強くなり、病気になりにくい基礎体力を養います。
先回りして教えたり指導したくなるのをグッと我慢して、近くで見守りながら、こどもたちの挑戦と成長を見届けます。

とことん「遊び込む」

すぐに転んで怪我をしたり、何事にも集中力が続かないこどもは、普段から充分に遊び込めていないのではないかと感じます。
屋内・屋外に限らず、ひとりひとりが遊び込める環境を整えることが、私たち保育者の役割です。
好きなだけ水を使って泥んこ遊びをしたり、天井に届きそうなくらい高く積み木を積み上げたり、制限のない自由な発想で遊びに没頭していると、体も思考力も鍛えられます。

木のおもちゃで遊ぶ男の子の写真
「昨日の自分」に挑戦!

遊具は、簡単にクリアできないように難易度を高めに設定してあります。
小さな子たちは、何度やっても失敗します。自分の限界を知り、それでも毎日挑戦してやっとクリアできた時に、大きな達成感を味わいます。
スイスイ木登りできる子も、クルクル逆上がりできる子も、実は数年間ずっと「昨日の自分」に挑戦してきた結果なのです。

雲梯にぶらさがって遊ぶ男の子の写真
体で「危険」を覚える

私たちは、こどもたちに大人が使う本物の道具を使って欲しいという思いがあります。
金属製の大きなスコップ、金槌、ノコギリ、飼育している動物たちのエサ(野菜)を切るための包丁など、こども用の道具はありません。
初めは少し危なっかしいですが、本物の道具を使って真剣に遊ぶうちに安全な扱い方を覚えて、実生活でも役立つたくましさが身についていきます。

のこぎりで木を切っている女の子の写真

遊びの七曜

私たち社協の3園は、こどもたちの「遊び」を昔の人の知恵が詰まった「七曜(しちよう)」になぞらえ、実践しています。

昼間のお日さまとは対照的に、夜空に浮かぶお月さま。霧島連山に日が落ちていき、お迎えを待ちながらお月さまを見上げると、1日の流れを感じることでしょう。七夕や月見などの行事も大切に伝えていきます。
毎日、火を間近で体験します。たき火で暖をとったり、癒されたり。かまどでごはん炊きも「ほら、泡が出てきたよ。早く薪をどかすんだよ!」と、こどもたちの方が詳しいです。子ども時代にたき火などの体験があることは、子どもたちの心を豊かにしてくれます。
泥んこや色水、雨上がりの水たまり、冬の雪どけ、氷。水は色々な物に変化します。水遊びから、計量やかさ、体積などを遊びをとおして学んでいきます。水は地球を循環していくもの。水の恐ろしさも体験していくはずです。園では、存分に水に触れさせ制限はありません。年間をとおして水で遊びます。
園庭には大小さまざまな木を植えています。春夏秋冬、木々の変化で季節を感じられます。
木登りの挑戦は、自分の限界を知り身をもって達成感を味わえます。木工遊びや木のおもちゃからも木の温もりを感じることでしょう。
ままごとに使うナイフや包丁など、大人と同じ金属製の道具を使って遊びます。血が出て痛い思いをすることもありますが、次の日はまた挑戦します。土を掘るスコップも金属製の大人用。大人と同じ本物の道具を使うことで、作業の幅が広がり単なる遊びにとどまりません。まるで小さな職人のようです。
園の砂場には、専門の業者に探してもらった真砂土や川砂を使っています。乾くとサラサラになり濡れると粘土状になり、泥んこや泥団子に適しています。土にまみれることは、あらゆる菌に触れ子ども達の自己免疫を高めてくれます。 汚れて遊ぶことは、子ども達の心と身体の成長に欠かせないものです。
お日様の下で自由に遊ぶこと。0歳から6歳までの間に外で遊ぶ経験がいかに大事か。医学や脳科学、教育学的にも分かってきていることです。こどもは遊ぶことが仕事です。自由に遊ぶことは、存分に自己発揮でき、自分を肯定する力を育みます。

じっくり考える

学ぶ

こどもたちは、毎日の遊びの中から生活に必要な「学び」を深めます。保育者はこどもたちに答えを与えるのではなく、さりげない提案をし続けることで、こどもたち自身による気づきや発見を促します。
周りのこどもたちを見て、時間を意識しながら行動することで、「今していいこと」「次にしないといけないこと」のメリハリが、自然と身についていきます。
自ら考え行動できるようになれば、その後の学校生活でも自信と落ち着きを持って行動できるようになるはずです。

気づくまで、じっと待つ

保育者は、基本的に「あれをしなさい」「これをしましょう」のような指示を出さないように心がけています。
近くにいて、じっと見守る。
木登りに挑戦中の時は、あえて手助けをしない。
物作りが上手くいかなくても、工夫してやり遂げるまで待つ。
こども同士のケンカの時も、できるだけ仲裁に入らない。
せっかくの学ぶ機会を奪わないようにしています。

パズルを持って考える男の子の写真
こどもの「都合」が最優先

大人の都合よりも、こどもの都合を優先させたい。
こどもが遊びに集中しだすと「あれをやってみたい!」と予期せぬアイデアを出すことがあります。
「こども用のスコップじゃ土が掘れんから、大人用の買ってきて!」と園長に直談判したり、寒い日に「砂場をスケートリンクにしたい!」と目を輝かせる時こそ、新しいことを学ぶチャンスです。
保育者は可能な限り、こどもたちのわくわくを実現できる方法を探します。

ハサミを使って工作をする男の子の写真

ちゃんと食べる

食べる

子どもたちの体の成長を支えるため、納豆や味噌などの発酵食品を取り入れて、昔ながらの和食を用意しています。
ご飯は「温かくて美味しいご飯を食べさせてあげたい」との想いで、園庭にある “ かまど ” で。間近で火を使って調理することも、豊かな経験のひとつだと考えています。小腹が空いたら置き火でメザシやスルメ、お芋を焼いて食べることも。
昼食時はグループごとに少し時間差をつけて食べ始めることで、保育者がこどもたちとじっくり向き合い、時間をかけてゆったりと食べられる工夫をしています。

和食が中心

3園合わせて4人の栄養士が交代で献立を考えています。
和食中心の給食に切り替えてから献立を考えるのが大変ですが、保護者に「こどもが風邪を引きにくくなった」「家でも食べたいので、作り方を教えて欲しい」と声をかけられるようになり、和食にして良かったと実感しています。

いりこを水に浸しているの写真
羽釜でご飯

雨が降らない限りは “ かまど ” で羽釜を使ってご飯を炊いているので、こどもたちは毎日炊きたてのご飯を食べています。
お米を研いで、薪を持ってきて、火を起こす。
炊き上がるまで火の番をしながら、「吹きこぼれてる!」「まだ蓋を開けたらいかんよ!」と声を張り上げる大人顔負けのこどももいます(笑)

羽釜でお米を炊いている写真
0・1・2歳児

0・1・2歳児は、担当の保育者がこども一人一人に向き合いながら食事のお世話をします。
丁寧に関わるために、時間差をつけて食べ始める工夫をして、少人数ごとに順番に対応していきます。
時間に余裕を持って食べられるので、こどもたちはゆったりと食事の時間を過ごすことができます。

保育士と少人数の園児が一緒にお昼ごはんを食べている様子
3・4・5歳児

0・1・2歳児と同じように、グループごとに別れて食べ始める時間が違うので、落ち着いた雰囲気の中で食事をすることができます。
3・4・5歳児は、自分の空腹具合と相談して、自分が食べたい分だけをお皿に盛りつけます。食べられる量を自分で決められることは、こども達の自己決定を尊重することにつながります。

ごはんをよそう男の子の写真
給食の例
ある日の給食
調理室で調理している様子
給食はすべて園内調理
野菜を煮ているところの写真
野菜もたっぷり
羽釜からお櫃にごはんをよそっているところの写真
炊きたてのごはん